スパイクナード(スパイクナルド):甘松香

 スパイクナード(スパイクナルド)の学名はNardostachys jatamansid オミナエシ科の植物です。同じオミナエシ科にはヴァレリアンも属しています。ヴァレリアンはドイツで不眠症によく用いられるハーブです。心を落ち着けるという点ではスパイクナードと共通の部分があるのかもしれません。

スパイクナードという名前を聞いたことのある人はどちらかといえば少ないと思います。ナルドの香油というと、聞き覚えのある人もいるかもしれません。エルサレムの地に入るイエスを足をこの香油で濡らし、長い黒髪で拭き取ったマリア(ラザロの一族、マルタの妹)の話は有名ですが、このナルドの香油の成分であろうと言われているのがスパイクナードです。

 さて、日本でもヨーロッパでも入手が難しく珍重されるスパイクナードですが、ネパールの薬草店では山をなすように積まれています。ひげ根がたくさんついていて、手触りはゴワゴワ。そのもの自体は香り高いというものではないな〜という印象。袋に詰めてもらってホテルで香りを確かめると、ベチパーを強くして少し動物的な香りを足したような感じです。
 日本に持って帰ってから、マカデミアナッツ油に漬け込んでみました。10日ほどすると綺麗な琥珀の色になって、香りが移ったので、早速使ってみました。
ベチパー好きの私にとっては抵抗のない香りですが、それでもどこか「獣臭さ」が残る気がします。ただそれが嫌な香りかというと、そうでもなく雨に濡れた犬や猫の香りと言えばいいのでしょうか、どこか安心感を与えてくれる香りです。
 アロマセラピーでは第1チャクラもしくは第2チャクラに相当する香りとして、心を落ち着け恐怖心を取り除く効果があるとされています。また抗菌作用を持つ成分も含まれています。

 ところで、スパイクナードには和名があるのをご存知でしょうか。「甘松香」と書いて「かんしょう(こう)」と呼びます。古くは鑑真和上がもたらした渡来品目録の中に出てきます。単独で用いられることは少ないせいか、白檀、伽羅、沈香や丁子ほど有名ではありませんが、平安時代から香合わせに欠かせない一品で、香りに深みを与えるというその特徴から、沈香とともに配合されることが多いようです。
 漢方では腹部膨満、胃痛、ヒステリーなどに用いられるのは、神経を鎮静させる作用があるからかもしれませんね。

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